君を抱きしめ続けるから
プロローグ
強くなりたくて、涙を耐え続けた。
そうしたら泣き方が分からなくなった。
人を傷つけたくなくて、怒ることをやめた。
そうしたら怒りという感情の形を忘れた。
優しくなりたくて、優しさを追い求めた。
そうしたら自分を犠牲にした優しさを知った。
いい子になれば、優しくなれば、愛されると
思った。
ただ愛されたいだけだった。
感情を殺してでも、自分を偽ってでも、
それでも愛されたかった。