嫌い。だけど好き。
次の日・・・学校に行っても全然 行動がシャキッとしない私。自分でも 嫌なくらい分かってしまう。

私は・・・家のために好きでもない人と結婚しなければならない。
私・・・こんな悩むって事は嫌なのかな?いや・・・別に嫌な理由なんて出てこない。

お父様もお母様も婚約者の有栖川さんも好きで相手と結婚したわけじゃない。
皆・・・家のため、会社のため、お金のため・・・。セレブな暮らしでも・・・私達の家系に人を思う気持ちなんかないんだ・・・。
冷たいんだ・・・人の気持ちが絡まない家庭なんて・・・。

そんな事を考えてると、後ろから肩をポンポンっと叩かれた。
後ろを振り返ると・・・
「そんな下向いてると、またぶつかるぞ」
昨日の綺麗な男性がいた・・・。苦笑いしながら「気をつけろよ!」と言う彼。
あ、確か、同じクラスなんだっけ?

でも・・・悩んでる時に他人に口出しされたくない。
自分の本当の思いが分からなくなってしまう。ここは、得意技で!
「昨日は本当に すみませんでした。
私の不注意で・・・。・・・・・・えと・・・その・・・」
昨日、彼が教室で言った言葉。
私を可愛いといった・・・。
謝るつもりが思い出してしまって言葉を失う・・・。

彼は私の もたもたしている行動に気づいたのか、私の腕を掴んだ。
「なぁ、俺さ ここの学校に昨日 転校してきたんだよね。良かったら この昼休み中に案内してくんない?」
ニカッと笑う彼。・・・私は・・・この綺麗な笑顔に弱いのかもしれない。
男の人なのに・・・不思議と下心あるようにも感じないし、嫌にも感じない・・・。
私は学食堂へ向かう足を止めて、彼を案内する足へと変えた。
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