恋は盲目、愛は永遠
坊ちゃんの制裁 ( 秘書・福島翼視点)
坊ちゃんが北欧出張へ行く前夜、俺のスマホに連絡が入った。
おいおい、この時間に仕事かよ、坊ちゃん!
俺今つき合い始めたばっかの彼女と通話中・・・ってことは緊急か。

急にため息をついた俺に、話していた俺の彼女・・・奈穂(なほ)は、ピタッと話すのをやめて、「どうしたんですか?先輩」と聞いてきた。

「悪い。たぶん仕事だ」
「え。あ、そうですか。24時間大変ですね」
「おい、それテレビで聞いたことあるようなセリフだぞ」
「一応文字ってみたんです」と奈穂の声を聞いた俺は、ククッと笑ってしまった。

なぜおまえはそこで得意気になる。
でもそれがとても楽しそうで、つい嬉しくなる。
つまんねーことも、こいつにかかれば面白くなる、みたいな。
あ、やべ。いつまでもニヤニヤしてらんねぇっての。
坊ちゃんからだよな、これ。

「切らないと・・・ごめんな」
「いえいえ!じゃあお仕事がんばってください。おやすみなさい」
「おやすみ、奈穂」と言うと、名残惜しくスマホを切り・・・すぐに仕事モードに気持ちを切り換えた。

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