一途な社長の溺愛シンデレラ
「前原さん、急に悪かったね」
「本当ですよ。もう新井社長ってば怒鳴りっぱなしなんですから。俺は結城のパシリじゃねえって」
ぽかんとしているわたしをよそに、ふたりはそろって笑い出す。
「新井さんに今度お礼するって言っておいてよ」
「はい。そうだこれ、お持ちしました」
紙袋を社長に手渡すと、彼女は私に目を移してにこりと笑った。
年齢はおそらく私とそんなに変わらない。だけど背が高く、出るところが出て、引っ込むところは引っ込んだ魅力的なスタイルの持ち主だった。
それこそ外国のモデルのようで、社長と並ぶととても絵になる。
社長は満面の笑みで彼女に封筒を差し出した。
「前原さんも悪かったね、これタクシー代」
「遠慮なく頂戴いたします。それじゃあ、私はこれで」
丁寧に頭を下げると、彼女は微笑みを残して廊下を去っていった。
紙袋を大事そうに抱えながらドアを閉めた社長は、どことなく浮かれた顔をしている。
「……今の、何?」
じっと見上げると、くっきり二重の目がきょとんとまばたきをした。
「今の?」