今宵、エリート将校とかりそめの契りを
「大体の事情はのみ込めました。しかし総士様。今大事なのはここからです。上木正一は……なぜ、奥方様に自分しか知り得ない真相を打ち明けたのでしょう?」
「……?」
言っているうちに緊張した様子の忠臣は珍しく、総士も怪訝な目を彼に向けた。
「私の想像ですが……兄、いや……家族を失い悲しみのどん底にある奥方様に、自分のせいだと言えたはずがない」
「……ああ?」
忠臣がなにを言わんとしているのか判断できず、総士はわずかに首を傾げた。
そんな総士に、彼は真っすぐ顔を向ける。
「奥方様の憎しみが、副官であった総士様に向くよう意図して、嘘をついたと考えられる。総士様を貶めてまで、奥方様の前で自身の正義を奮った理由……上木正一は、奥方様に懸想しているのではないでしょうか?」
「っ……」
目を剥き息をのむ総士を横目に、忠臣は軽く身を乗り出した。
凛と声を張って、「急げ」と運転手に命じる。
戸惑った表情を浮かべる総士に、忠臣は再びゆっくり向き合った。
そして。
「この先は軍人としてではなく、男として。総士様の腕の見せ所です」
この場にはそぐわない飄々とした笑みを浮かべて、忠臣は背凭れに深く寄りかかった。
「……?」
言っているうちに緊張した様子の忠臣は珍しく、総士も怪訝な目を彼に向けた。
「私の想像ですが……兄、いや……家族を失い悲しみのどん底にある奥方様に、自分のせいだと言えたはずがない」
「……ああ?」
忠臣がなにを言わんとしているのか判断できず、総士はわずかに首を傾げた。
そんな総士に、彼は真っすぐ顔を向ける。
「奥方様の憎しみが、副官であった総士様に向くよう意図して、嘘をついたと考えられる。総士様を貶めてまで、奥方様の前で自身の正義を奮った理由……上木正一は、奥方様に懸想しているのではないでしょうか?」
「っ……」
目を剥き息をのむ総士を横目に、忠臣は軽く身を乗り出した。
凛と声を張って、「急げ」と運転手に命じる。
戸惑った表情を浮かべる総士に、忠臣は再びゆっくり向き合った。
そして。
「この先は軍人としてではなく、男として。総士様の腕の見せ所です」
この場にはそぐわない飄々とした笑みを浮かべて、忠臣は背凭れに深く寄りかかった。