きみに初恋メランコリー
「言っとくが、俺からすればどっちもどっち。驚いてんだろ、このコ」

「あらやだ、失礼失礼」



言いながら女の人が、にっこりとわたしに笑みを向ける。

ふわりと、ショートカットの髪が風に揺れた。



「はじめまして、彼女ちゃん。あたしはこのサッカーバカの姉みたいなもんやってる、内村まどかです。んでこのでかいのが、彼氏の藤原鷹人。あっ無表情だけどこれがデフォルトだからね? こわくないからね?」

「おい……」



目の前で繰り広げられるやり取りに一瞬呆けてしまいながらも、わたしはハッとして、口を開く。



「あっ、えっとわたしは、月舘花音、です」

「そっかー花音ちゃんね。よくぞこのサッカーバカと付き合ってくれたわ、うんうん」

「え、えっと……」

「ていうか今さらだけど、めちゃくちゃ美少女ねこのコ。今度うちに遊びに来ない?」

「へっ」

「てめぇ……」

「おいコラ、まどか」



低く唸るような奏佑先輩の声を遮るように鷹人さんが言って、ぽすんとまどかさんの頭に手を置いた。

なんだか呆れ顔で、まどかさんのことを見下ろしている。
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