きみに初恋メランコリー

・彼女の言葉



「よし、今日はもうあがるぞー」



キャプテンである俺のその声を皮切りに、部員たちが返事をして片付けを始めた。

それから揃ってダウンをして、部室で制服に着替える。

ちょうど俺がワイシャツのボタンを留め終わったところで、斜め後ろで着替えていた1年の上村(かみむら)が、肩をつついてきた。



「奏さん、今日帰り、ファミレスどーっすか?」

「あー悪い、パスだな」

「え~またっすか? 最近奏さん、付き合い悪いっすよ~」



そう言って口をとがらせる上村は、俺と中学の頃からの付き合いだけあって、他の後輩たちに比べると随分気安く話しかけてくる。

悪い悪い、とたいして気持ちのこもっていない返事をする俺に、さらに上村は絡んできた。



「あ、もしかして、このあと月舘さんと約束でもあるんすか?」

「──、」



突然飛び出した予想外の人物名に、思わず一瞬呼吸を止める。

ゆっくり、俺は背後の上村を振り返った。
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