きみに初恋メランコリー
「なーんて、俺みたいなのに言われても説得力ないだろうけど、」

「……先輩は、すごいです」



彼の言葉を遮って、思わずつぶやく。

先輩がこちらを向いて、少しだけ目をみはった。



「すごいです。……ありがとう、ございます」



彼の口から出る言葉たちは、まるで魔法だ。

なんでも治せる薬みたいに、いつも、わたしの心を軽くしてくれる。


窓枠に置いた両手を握りしめ、小さく、だけどはっきりとお礼を伝えた。

彼はそんなわたしを不思議そうに見つめ、それからふっと、口元を緩ませる。



「……どういたしまして」



熱があるみたいに、頭がぼーっとする。

自分から縮めることができないこの距離が、もどかしい。

ちゃんとまっすぐに顔を上げて、彼の目を見れない。


今まで何回、会ったとか。どのくらいの時間話をしたかなんて、関係なかった。

──わたしは、奏佑先輩に恋をしている。
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