不完全美学
その日の放課後、あたしは授業を終えるなり美術室に向かう。
「ありがとう」なんて言うのはなんだか悔しいけど、凪にその気持ちを伝えたかった。
「凪!」
勢い余って声を張りすぎてしまった。
他の部員が一斉にこちらを向く。
あたしはその視線を避けるみたいにコソコソと凪に近寄る。
「ね、凪……」
「お前、しばらく来るな」
さらりと言い放たれた凪の言葉に、あたしは呆然とした。
なにいきなり冷たくなっちゃってんのよ。
ううん、元々冷たい奴だけど。
でも……