【完】ちょいワル先生と優等生


「晶に奪われたって言ったでしょ。
だから仕返しのつもりだった」





ずっと、そのことを根に持って生きてきたんだ先生は…





「高校の頃からゆずちゃんの話は聞いてたんだよ。やれ卒園だ、入学式だって。
だから晶が大切にしてたものを奪いたかった、汚したかった。
イイコのゆずちゃんをワルイコにしたかったんだよ。俺の手でね」





先生の目から闇が感じられる。


きっと、すごく苦しかったんだろう。



茜ちゃんを奪われたことも、お兄ちゃんに裏切られた形になってしまったことも。





「でも、ゆずちゃん本当に似ててさ。
だんだん放っておけなくなっちゃった」





……茜ちゃんに、似てたから…



私が茜ちゃんに似てなかったら…今この瞬間はなかったってこと…?



私は本当に茜ちゃんの身代わり、なんだ。




自分から言い出したことなのに、ひどく傷付いてる。




私、先生のこと好きになってたんだね…



だからこんなにも辛いんだ。


< 52 / 84 >

この作品をシェア

pagetop