甘すぎてずるいキミの溺愛。



なんで……わたしが目を覚ます前に
いなくなっちゃうのさ……。

「その時、引き止めたんだけど……」


黙り込んだかと思えば、都合の悪そうな顔をして。


「雪野くん言ったんだ。花井さんが目を覚ました時、自分がそばにいるより、俺がそばにいてあげたほうがいいって」


なに…それ……。

勝手なこと言わないでよ。

そんなことわたしはこれっぽっちも思ってないのに。


「だから、花井さんのこと助けたことも、ここまで運んだことも、全部俺がやったことにしといてって言われたんだ」


最後に「そのほうが、千湖にとっては幸せだろうから」

と言ってその場を去ろうしたとき

さらに、微かにつぶやきが聞こえたそう。


「……どうせなら僕がそばにいてあげたいけど。きっと千湖はそれを望んでないから」と。

< 209 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop