契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
悠さんが帰ってきたのは夜九時過ぎ。

彼は脱いだジャケットをソファの背もたれにかけ、座って俯いた。

気を紛らわせたくてずっとつけっぱなしにしてあったテレビの音が、聞こえなくなるくらいの緊張感。

それに耐えられなくて、キッチンに立ちながらなるべく明るい声を出した。

「ご飯、食べてきましたか? 一応おかずは用意してあるんですけど…」

「凛、こっちに来て」

私の声を遮るように悠さんが言った。

鼓動に合わせてズキンズキンと心が軋む。

覚悟を決めて大きく息を吐き、隣に座って私も俯く。

「…昨日は悪かった」

「いえ、私こそごめんなさい」

重い空気の中、悠さんはゆっくりと私に目をやり、それから頭を下げた。

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