契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
「…お帰りなさい」

「ただいま。友達の会ってくるって聞いてたけど、早かったんだな」

…私の帰りが遅いと思ったから、菊川先生に会ってたの…?

悠さんは上着を脱ぎ、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。

お酒を飲んだから酔い覚ましのつもりなんだろう。

時計の針は11時をさしている。

「…今日は遅かったんですね」

「ああ」

「飲みに行ってたんですか?」

「ああ。帰りに根津に誘われて。連絡しないで悪かった」

思わず拳をぎゅっと握った。

嘘つき…

「なんで嘘つくんですか…」

涙が出そうで、蚊の鳴くような声しか出なかった。

私の言葉で、ミネラルウォーターを飲みかけていた悠さんの動きがピタッと止まる。


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