契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
「頑張れよ。もうすぐ着くから、頑張れ」
何もできない俺はひたすらに声をかけ続けた。
苦しそうに俺の背中で泣いている彼女をなんとか楽にしてやりたいのに、俺にはその知識もなければ方法もわからない。
俺が医者だったら…なんて考えが、初めてその時よぎった。
彼女は急性胃腸炎だった。
長野から東京の祖母の家に遊びに来ていて、迷子になったらしい。
「凛!」
「おばあちゃん…」
彼女の祖母が駆け付けた時、彼女の体調はだいぶ落ち着いていた。
聞くところによると、おばあさんの家は隣町。
彼女は家から30分も離れた公園で迷子になっていたというのだ。
こんな見知らぬ土地で、どれだけ歩き回ったらそうなるんだろう。
ともかく俺は安心して部屋に戻り、いつも通りに宿題をこなしてゲームをした。
3日ほど経ったあと、母親に4つ折りの紙を渡された。
「なんだよこれ」
訝しい顔をする俺に、母親は「ふふっ」と笑って答えてはくれなかった。
だけど、紙を開いてすぐにわかった。
下手くそな字。右上がりの文章。
何もできない俺はひたすらに声をかけ続けた。
苦しそうに俺の背中で泣いている彼女をなんとか楽にしてやりたいのに、俺にはその知識もなければ方法もわからない。
俺が医者だったら…なんて考えが、初めてその時よぎった。
彼女は急性胃腸炎だった。
長野から東京の祖母の家に遊びに来ていて、迷子になったらしい。
「凛!」
「おばあちゃん…」
彼女の祖母が駆け付けた時、彼女の体調はだいぶ落ち着いていた。
聞くところによると、おばあさんの家は隣町。
彼女は家から30分も離れた公園で迷子になっていたというのだ。
こんな見知らぬ土地で、どれだけ歩き回ったらそうなるんだろう。
ともかく俺は安心して部屋に戻り、いつも通りに宿題をこなしてゲームをした。
3日ほど経ったあと、母親に4つ折りの紙を渡された。
「なんだよこれ」
訝しい顔をする俺に、母親は「ふふっ」と笑って答えてはくれなかった。
だけど、紙を開いてすぐにわかった。
下手くそな字。右上がりの文章。