ブラックサンタクロース



 *




「どうかしましたか、羽山さん」


職場の廊下で背後から声をかけてきたのは、部下の上原昇(うえはら のぼる)。


爽やかな黒い短髪。少し日に焼けた肌。
真面目を絵に描いたような、正義感の強い若者。

相変わらずキラキラした目をしてやがる。


日頃から『羽山さんみたいになりたいッス!』などと言って俺のことを尊敬してくる。


ひとことでいうと、忠犬。

俺を見つけると尻尾振ってやってきて。

俺の頼みならなんだってきく。


そんな上原が、きょとんとした顔で見てくる。

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