ブラックサンタクロース


駆け寄り、リョウコを抱き寄せる。

僕の服がリョウコの血で染まっていく。


「AMALI……そこに、いるの?」

「いるよ」

「ごめんなさい。よく……見えないの」

「っ、」


僕は自分の服を破り、リョウコの傷口を塞ごうとした。

だけど、出血は止まらない。


溢れさせ方なら、わかるけど。


止め方なんて、わからない。


数ヶ所ある傷口は思ったよりも深い。


「リョウコ……ねえ、リョウコ」


このまま死ぬつもり?

僕に食べられる前に?


なんで?


なんで、リョウコは死にかけてるの?


「逃げ、て」


リョウコはXに会ったの?

これはXにやられたの?


気配を探るも、なにも感じない。

それどころか。


リョウコに接触した痕跡が微塵も残っていない。


ニオイすらない。


「どんなやつ?」

「…………」


もう、話せないの?


「……ま」

「なに。聞こえない」

「あ……く……」
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