ブラックサンタクロース
中学3年生になった現在、施設暮らしをしている。
ここでの生活は静かなものだった。
わたしの過去を知る人はいない。
事情があって親と暮らしていないということ以外は、お互いに触れ合わない。
知ろうとしないし、されない。
だから平穏な生活を送ることができている。
……できて、いたのに。
『キミ、莉音ちゃんだよね?』
――12月24日
世間的にはクリスマスイヴの、夜。
街で知らない男に声をかけられた。
『俺らは、キミの友達の友達。遊ぼ?』