誰がサンタクロース
俺ばっかりって、なによ。わたしがあんたのことを、好きだとでも? わたしは別に、あんたが好きなわけじゃない。頼まれたから、断ってしまえるほど思いやりなんて持ってなかったから。ただ湧きあがってきた言葉を言っただけだから。


そんなセリフが、たしかに頭の中に用意されたけど、口にできるほど、わたしは嘘が得意じゃない。


一緒にいるうちに、トモキのまっすぐな目が、お人好しが、ちょっと危なっかしいくらいの優しさが、わたしにとってなくてはならないものになってしまっていたみたいだ。


たしかにそう感じて、でも上手く伝えられる言葉が見つけられなかった。


わたしが知っている言葉じゃ、どれも正確に伝えられない気がした。


トモキと繋いだ手が、冷たい風から離れ、ほのかな熱を持ち始める。


この熱で世界中の人が暖められるわけじゃないけど、わたしにとっては、これ以上はないたしかなぬくもりだ。


握った手に力を入れると、わたしは震えないように気をつけながら、呟いた。


「わたしには、トモキがサンタクロースだから」


トモキの驚きが、握った手に響いてきた小さな振動でわかった。


わたしは笑って、その振動を返した。


このぬくもりが、ここにある。


こんなに尊いプレゼントは、他にない。



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