恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
私の顔の赤みが引く頃、フレンチのコースが一つずつ運ばれて来た。
修平さんは前以てコース料理を予約していてくれたようで、私たちがこの場で選んだのはワインくらいだった。
修平さんは、手元のワインリストを見ながら私に「杏奈は軽めの口当たりの方がいいよね」と聞いてくれて、シャンパンを注文してくれた。
「飲み過ぎたら泊まっていけばいいよ。」
なんて、意味深なこと言ってウィンクを送ってくる彼に、アルコールを摂取する前から酔ったみたいにクラリとする。
『好きだ』と言った後の彼も、時々こうやってからかってくるから、どこまでが冗談でどこからが本気なのかわからなくなる。
もしかして、全部『冗談』なんじゃ……。
目の前の美しいアミューズを眺めながらそんな考えがよぎってしまう。
「杏奈?どうかした?嫌いなものだった?」
「えっ?そんなことないよ…美味しそうだね!すごく綺麗な盛り付けで見惚れてただけだよ。」
慌てて誤魔化した私を見て微笑んだ修平さんは、シャンパンの入ったグラスを少し持ち上げる。私もつられて同じようにグラスを持ち上げた。
「では、俺の足の完治と、杏奈への感謝の気持ちを込めて。乾杯。」
「乾杯。修平さん、完治おめでとう。そしてこれまでありがとうございました。」
「過去形にしないで、杏奈。俺としては、『これからもよろしく』の方が嬉しいんだけどな。」
「えっと、とにかくナオッテヨカッタ、デス。」
「あはは」と笑った彼がグラスに口を付けた。