恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
「ところで、杏奈のお母さんは何をされてる方なの?」
突然思わぬところに話しを振られて、びっくりする。
「お父さんが喫茶店をされてる話は良く出てくるけど、お母さんがどんなお仕事をされてるか聞いてなかったな、と思って。お忙しくされてるって聞いたから専業主婦ではないんでしょ?お父さんの喫茶店を手伝われてるのかな?」
「ううん、喫茶店をやってるのは父だけ。母の仕事は…出版関係、だよ。」
「そっか、それならとても忙しいんだろうな。俺の友人にも出版社に勤めてるやつが居て、ものすごく忙しそうにしているよ。」
「そ、そうなんだ。大変だね。」
「出版関係、と言えば…」
一旦言葉をそこで釘った修平さんが、テーブルの下のクロークバスケットの中から紙袋を持ち上げた。
「遅くなってしまってごめんな。これ、」
紙袋の中から取り出したものを両手で差し出されたので、何も考えずに手を伸ばした。
両手に、昔から馴染んだ感触が伝わる。
渡されたそれを見て、目を見張った。
「こ、これ!!」
私の手の中には、私が一番大事にしていた『宝物』が在った。