恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
 「どうして……なんで私たちの話を、ちゃんと聞いてくれないの…?」

 膝の上で勝手に震える両手を見つめながら、声を絞り出す。

 「わたし、…ちゃんとお母さんとヒロ君に、修平さんのことを話そうって、そう決めてきたのに……」

 目の前に水の膜が張りはじめ、声が震えた。
 膝の上の私の手の上に、修平さんの手がそっと乗せられた。

 「わたし、いつまでも小さな子どもじゃない…私のこと、そんなに信用してないんなら、もういいっ!ヒロ君なんて、嫌いッ!!」

 言い終わると同時に涙のダムが決壊して、勢いよく立ち上がりその場を駆け出した。
 部屋の引き戸を開いた時、後ろから「杏奈っ!」と呼ばれたけれど、立ち止まらずにそのまま走り出した。


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