恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
 「そこまでしなくても大丈…」

 「いえ!そうでなければこちらにご厄介になるわけにはいきません!」

 瀧沢さんの言葉を途中で遮って、私は叫ぶようにそう言った。
 瀧沢さんは少しびっくりして私をジッと見つめている。

 「……そうじゃないと私……」

 さっきの威勢は、風船の空気が抜けるようにシューっと萎んでいく。

 生まれてこの方、父親以外の男性と二人っきりで食事をしたことすらない私が、数週間男性と二人っきりで暮らすなんてどう考えても、寿命が縮まる行為だと思う。
 でも、こんなに優しい彼に助けてもらった恩返しがしたい、という気持ちも嘘ではない。私で返せる恩があるなら、多少の無理でも頑張りたいとすら思える。
 
 だから必要なのだ。『大義名分』が。

 膝の上で両手をギュッと握りしめて、「お願いします!」と頭を下げた。
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