借金のカタなのに溺愛されてます?



サァと促されるままに足を踏み入れると部屋の照明が一斉に点いた


広い部屋には大きなベッドと
壁にいくつも見える扉

統一された濃い色の家具は
センスよく配置されている

唯一、大きな鏡のドレッサーには
この部屋には不似合いのピンクをベースにした花がアクセントに飾られていた

隣を見上げると
視線に気づいたのか
首を傾けてニコリと笑った


「ここが俺と陽菜の寝室」


パチパチとスローモーションの様に
瞬きする長いまつ毛を凝視する


「し、んし、つ・・・」


結婚したのだからそういうこともあるはず

友達から借りた小説で
そんな描写を読んだことがある

興味を唆るその章を
何度も読み返した記憶・・・

そんな問題じゃない

決心のつかない頭の中を見透かすように


「サァ」としっかり掴まれた肩


強引にベッドまで歩かされると
棒立ちになる身体を

抱き上げられ
ベッドの中央に降ろされた


「あ、あの・・・大澤さん?
 困ります、だって、高校生だし
 あの・・・やめ・・・っ」


一生懸命拒む言葉を探していた口を塞がれる


押し倒された身体に
半分体重をかけられて身動きが取れない

両手を頭の上で掴まれ
抵抗出来ない状況に身体が強ばる


「碧斗だ!陽菜。
 高校生でも妻だから関係ない」


“問題ない”と言い切り


強引に重ねられた唇から舌が割って入った


「うぐっ・・・っ・・・ん・・・っ」


角度を変えて重ねられるたび
耳から入る水音が五感を刺激する

フッと外されると


「ニンニク食べた?」


唾液で光る唇が動いた


「あ、ごめん・・・なさい」


悪いことをした訳でもないのに
瞬きが早くなった






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