借金のカタなのに溺愛されてます?


その二人が頭を下げて襖を開くと



「碧斗!連れてきたよ」



一平さんは俯いたままの私の肩を持ち前へと押し出した


「チッ」


部屋の中央に鎮座する大きなソファに座っている男性が
ギシッと音を立てて立ち上がると

部屋の空気が一瞬で冷たく凍った


・・・・・・怖い


「一平!触んな」


よく通る低い声が響き

解れかけていた緊張が甦る


「ほら、大きな声を出すから
 陽菜ちゃん震えてるじゃん」


恐ろしく空気の読めない人なの?
一平さんは張り詰めた空気の中へ
私を投げ込んだ



・・・間違いなくヤクザですよね?



それ以外の選択肢があれば
教えて欲しいと思えるほど
怖い面子に感心すら覚える自分がいた



それより


・・・・・・どうして?


目の前のガラステーブルに置かれた
白い紙を見ながら
更に小刻みに震え出す身体


・・・絶体絶命


そんな言葉が頭を巡った



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