溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

 エレベーターを降りて、ドアのない通路の途中で靴を脱いだ彼は、遠慮なく入っていく。


「八神さん、ここは……」
「俺と咲の新居だよ」
「し、新居!?」

 驚いて通路に立ち尽くすと、彼は私の手を引いて正面にあるドアを開けた。


 あまりに広いリビングに驚嘆してしまう。
 八神さんと暮らしている部屋も十分広いし、設備だって揃っているから生活に何の支障もないけれど……。


「すごい……こんなに広い部屋ってあるんですね……」
「驚いた?」
「驚いたなんてもんじゃないですよ……だって、八神さんと別々に暮らすとばかり思っていたから……」

 都内を一望できる大開口の窓辺で、彼に優しく強く抱きしめられた。


「咲、お願いがあるんだけど聞いてくれる?」
「……はい」

 そして、どちらからともなくゆっくりと距離を取って見つめ合う。


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