絶対やせてやる!

「あの時、僕はまだ4才だった。

でもちゃんと兄さんと別れた日のことは鮮明に覚えてる。」


夕くんは、6才年上兄の士幌のことが大好きだった。

士幌も夕くんをとても可愛がってた。

兄弟は仲がよく、家族は上手くいってるはずだった。

しかし、兄弟の知らないところで両親の溝は深まり、ある日突然母親が夕くんを連れて出て行くことに・・・。


別れの日・・・


「お母さん!僕いいこにするから・・・だから一緒に連れてって!」


10才のまだ幼い士幌が泣いて母にすがった。
けれど、母は首を横に振るばかりで・・・。


「お母さん・・・お願いだから・・・。」


そう言ってまだ母にすがる士幌の手を振り払い、夕くんの手を握って行ってしまおうとす
る母に夕くんが

「ままぁ~、お兄ちゃんと行く~。」


と母の手を離して士幌にしがみ付くと


「夕・・・。」


母が辛そうな顔をして・・・


だから、士幌は

「お前なんか・・お前なんか弟じゃない!大嫌いだ!」

と夕くんに向かって言い・・・



それが二人の別れだった。



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