絶対やせてやる!
盛り上がっている会場を抜け出し二人で歩いた。


まるであのウォーキングのときのように黙々と・・・。


そして、信号で立ち止まった時に、

「なんでそんなになっちゃたわけ?」

士幌の背中に向かって聞いてみた。


「まあ・・・いろいろと。」


振り返らずに士幌が言った。


いろいろって?


士幌の本当の気持ちが知りたかった。

横に並び士幌の方を見上げた。


「高校ぐらいまで俺って結構太ってたんだ。
ストレスとかあると食べ物に走ってさ。」


こっちを見ないで士幌が言う。


「で、ストレス?」


士幌の横顔を見上げながら、太っちゃてても顔の作りはいいから・・・

もったいない・・・とかって思ってしまう。



「うん、まあ・・・弟のこととか・・・

みのりのこととか・・・。」


そうだ、夕くんのこと・・・

そして・・・私のことも?


「夕くんのことで辛かったのは分かるよ。
でも・・・私のことは、違うんじゃない?
私のことなんて・・何とも思ってなかったでしょ?」


「どうかしてたんだ。
夕のことがあって夕に対する罪悪感とかで自分を責めてたから・・・
誰かに当たりたかったのかもしれない。
それを・・・みのりにぶつけてしまったんだ。」


うな垂れる士幌を見て、初めて会ったばかりのころの強気で意地悪で・・・

カッコいい士幌が懐かしくなった。



「後悔した。ずっと・・・後悔してた。」


士幌が、顔を上げて真っ直ぐに見つめてきた。



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