Miseria ~幸せな悲劇~

「だいたいあんなのは、もう私には関係ないことよ! だって私は……!」


詩依は激しい口調で声をあらげた。しかし直後、しまったという顔を浮かべて黙りこんだ。メイは詩依の発言に食らいついた。


「関係ない……? どういうことそれ……」


メイの追求に詩依は言葉を失った。詩依がもらした一言。


もう、関係ないとはどういう意味なのだろうか。


「……もういいでしょ。何でもかんでもいちいち首突っ込んで。メイの悪い癖よ……」


詩依は不機嫌そうに言った。これ以上何も聞いてくるなという詩依からの要求だった。


「……じゃあ、詩依。詩依には…親友の私にも話せないことがあるってことだね」


「…………」


メイの一言に詩依は渋いものを舐めた顔をした。直後に小さな声で何かを呟いた。ただ、屋上に吹く風の音で、メイがそれを聞き取ることはできなかった。
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