Miseria ~幸せな悲劇~
「…………」
そんな美花の様子を風花は心配そうに見詰めていた。いつもと違う。髪を下ろした美花の後ろ姿だ。
「なぁ、風花…?」
美花は立ち止まると、いつになく弱々しい声で言った。長い赤髪を手でくしゃくしゃと触る。
「みんなは……サッカーができない私を……まだ、好きでいてくれるのかな? 私って、それしか取り柄がなかったからさ……」
美花は強気な態度をとっていたが、内心では不安でいっぱいだった。
まるで今までとは違う自分に生まれ変わって、誰も知らない世界に飛び込むような。そんな雑然とした、淡い不安が美花を支配していた。