君だから。


「そういえばさ、2人とも九条くんのことすきだったんじゃなかったの?」


と凛が友梨奈ちゃんと梓ちゃんに尋ねた。


これは、私も気になっていたことで。


てっきり晴翔くんの周りに集まっていた女子たちは晴翔くんが好きな子たちばかりだと思っていた。


でも、さっきの会話を聞く限りそんな感じでもなさそうだし。


「えーっと、別に九条くんが好きなわけじゃないよ?」


「珍しい時期に転校生が来たからかな。それに…」


「私たちは九条くんじゃなくて、葵ちゃん狙いだったから」


「ん?」


「えっ?」


私と凛がほぼ同時に驚く。


今、とんでもない爆弾発言をしたような…?


「そんなに驚かないで〜」


「だってさ、九条くんの隣の席が葵ちゃんだったから。これは、チャンスと思って…」


「え!それじゃあ私に言ってくれれば良かったのに!」


凛は2人にそう言った。


「葵ちゃんと仲良くしたいって言ったら気分悪くするかと思って…」


「えーっ!そんなこと思わないって〜。むしろ私は大歓迎だよ!」


葵の友達は私の友達だし。と凛は付け加えて。


やっぱり凛はいい子だなぁと思う。

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