極悪プリンスの恋愛事情


電話、切ったんだ……。


いったい何の話してたんだろう。


誰かに取られるとか、本気になる?とか。

急に変な話しを始めるから私にはよく理解できなかった。


「花野井ちゃん」

「は、はい!」


私を呼ぶ岸本くんと視線が重なる。

心拍数がやけに速いのは、真剣な雰囲気に包まれているせいだと言い聞かせた。


「後夜祭のダンスパートナー決まってないって言ってたよね?」

「うん、まぁ……」


「なら、俺のパートナーになってよ」


「はぇ?」


突然の提案に驚いてマヌケな声が漏れた。

目の前に立つ岸本くんも「変な声」と、笑っている。


「え、だって、岸本くんは興味ないって……」

「やっぱり気が変わった。花野井ちゃんがパートナーになってくれるなら、参加するのも悪くないかなって」


< 123 / 313 >

この作品をシェア

pagetop