極悪プリンスの恋愛事情


「ほら、赤点取らなかったら冬休み遊べるわけだし、何するのかなって」

「えっと、そうだなぁ………」


正直、テスト勉強に必死すぎて冬休みの予定なんて何ひとつ考えてなかった。


去年はほとんど皐月と一緒に過ごしてたっけ。

まだ誘ってはいないけど、今年も皐月と遊べたらいいな。


「冬休みは友達と遊ぶ予定!」

「え、それだけ?」

「うん」

「他には何もないの?」

「他には……………ないかな」


岸本くんの問いかけに少し言葉が詰まった。

不覚にも凛くんの顔が脳裏に浮かんでしまったせいだ。


無理を承知で誘ってみてもいいけど、どうせ断られるに決まってる。


あの日言われた「俺には関係ない」という言葉が今でも胸に刺さったまま。

傷口から漏れ出す後ろ向きな感情が、私の行動を押さえつけていた。


無理だよ、諦めなよって、頭の中で響いて仕方ない。


なんとなく凛くんを避けてしまっているのも、そのせいだ。


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