極悪プリンスの恋愛事情

「あいつ、今も花野井ちゃんのこと待ってると思うよ」


穏やかに微笑む岸本くんを見ていたら、自然と気持ちが落ち着いた。


さっきまであんなに不安で仕方なかったのに、魔法にかかったみたいに心が軽い。

今なら飛べそうなほどに。


「ありがとう岸本くん。やっぱり優しいね」

「ん、なんで？」


「だって私の話すごく真剣に聞いてくれるんだもん」

「まぁー、俺はいい人だから」


「うん。ほんとに」

「今の冗談で言ったんだけど」


テンポの良い会話がおかしくて、お互いの顔を見合わせて笑った。


私、岸本くんがいるから頑張れるのかもしれない。


あえて口には出さなかったけれど、心からそう思う。



彼が私の“友達”でよかった。