極悪プリンスの恋愛事情

優しい恋



凛くんとの噂が広まってから数日。

岸本くんの言う通り、私はファンの子たちから恨まれる存在になっていた。



「………あ、また無くなってる」


空っぽになった靴箱を見るのは今日で何度目だろう。

短いため息を吐いてから、鞄に常備していたスリッパに足を通した。


この前せっかく見つけたのに、また探さないとなぁ。

次はどこに隠したんだろ……と、呑気に考えられるくらいファンの子たちの嫌がらせが日常になっていた。



「───ねぇ、今日も来てるよ。花野井静香」

「またスリッパ履いてんじゃん。かわいそー」



聞こえてきたのは凛くんファンの子たちの話し声。

ちらりと横目で見たら「やば、聞こえちゃたかも」とくすくすと笑っていた。


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