極悪プリンスの恋愛事情


突然の声に驚いたのは私だけじゃなかった。

込み上げてきた涙を抑えきれず、溢れてしまうと思ったその瞬間。


顔を上げれば、すぐそこに。

眠たそうに目を擦る凛くんが立っていた。


「ったく、さっきからうっせーよ。こっちは疲れてるってのに…………」

「あ、ああっ、あ、相崎くん………!いつからそこに!?」

「ずっと居たけど、なに?」


不機嫌そうに頭をかく姿を見る限り、たぶんいつものスポットで寝ていたんだと思う。

私たちが騒いでたから耐えきれなかったんだと……なんとなく理解できた。


「あのね、えっと……これは違うの!そのっ………」

「は?」


一瞬にして顔を青ざめたファンの子たちは、突然の事態に思いきり動揺している。


かく言う私もぽかーんと口を開けているだけで、なかなか状況を飲み込めない。


「と、とにかく違うからね!!」


それだけ言い残して、全員一目散に逃げていってしまった。


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