お見合い結婚狂騒曲
帰宅し、激昂が冷めるや否や、私は頭を抱え青くなる。

あぁぁ、後悔先に立たず! 売り言葉に買い言葉、そこまではまだイイ……指を立てたのはマズかった。

ポチャンと天井から落ちる水音が『バカ』と言っているように聞こえ、さらに落ち込む。

「うわー、明日仕事だよ! 会っちゃうよ!」

エコーの効いた声が浴室に響く。
あの時の冷えた目。ああいうのを絶対零度の目というんだ。

「怖いよぉ、休みたいよぉ」

バシャバシャと湯船の中で、のたうち回ったところで、どうなるわけでもない。

「謝罪か? 謝罪をすべきなのか?」

否、待て、喧嘩両成敗だ。向こうも悪い。
だが……とあの瞳を思い出し、ブルッと震え、敗北宣言する。

「ーーやっぱり謝ろう」

単細胞の私は決断すると早い、スーッと気分が落ち着き、頭が回り始める。

「それにしても、急遽見合いをしたかった理由は? 恋人? が関係するとは思うけど……それにあの憎々しげな態度、私、知らぬ間に何かしたんだろうか」
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