君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている



昼休み、さっさとお弁当を口にかきこんで、樹里に断って教室を出た。


今日のラブレターは最多の5通。

授業の合間の休憩時間に2通は手渡し済み。昼休みにも2通渡して、午後に1通の予定でいる。

間に合わなければ放課後に。それくらいの余裕を持つように気をつけている。


「ひとりで行くのか?」


廊下を駆け足で進んでいくと、トイレにでも行っていたらしい深月と会った。仕方なく立ち止まる。

2つの封筒を持つあたしの手元を見て、大丈夫かよとでも言いたげな顔をしてきた。


「うん。1年の時同じクラスだった子と、同中の男子だからあたしでもわかる」

「ふーん。……お前、それでそういう手紙何通渡してきたことになる?」

「は? なに、急に。数えてないけど……30通、くらい?」


あれ、もっとだっけ? でもそんなに渡してるんだ、あたし。

改めて数字にして、自分でも驚いた。加奈子の1通目ですでに、二度とごめんだって思った気がするんだけどな。


「もういい? 2通渡すつもりだから急がないと」

「……お前さあ、何でそんな必死にやってんの?」


断るって言ってたくせにと、深月は理解できないらしく眉を寄せている。

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