君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている

「ど、どうしよう。誰か呼んで……あ、そうだナースコール!」


狭い部屋を見回して、ベッドの頭の部分にそれを見つけた。

でも手を伸ばそうとすると、熱い手に強く腕を掴まれ止められる。


「大丈夫……誰も、呼ばなくていい」

「で、でも優ちゃんこんなに辛そうなのにっ」

「辛くても、仕方ないから、いいんだ」

「仕方ないって……」


水で口をゆすいで、大きく息を吐くと優ちゃんはようやく顔を上げた。

熱があるはずなのに、顔色は真っ白なことに驚く。目の下もうっすらとクマが浮かんでいる。


前は腕に点滴の管が繋がっていたけど、今日は鎖骨のあたりから半透明の管が伸びている。

その先を目で追うと、スタンドにぶらさがった点滴パックの中で毒々しい色の液体が揺れていてギクリとした。


なに、あれ。薬だよね。毒、なわけないだろうけど……。



「何で来た?」

「え……あ、うん。優ちゃんのことが気になって」

「来なくていいって言っただろ」

「そうだけど。でも、あたしが会いたくて……」

「もうすぐ県大会だ。こんなところに来る余裕なんてないはずだ」

「優ちゃん……」

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