キミのビートにのせて。

それぞれの想い。

୨୧Shun side୨୧


澪ちゃんの病室を出た俺は、Yukiからの「どこにいる?戻ってきてないのお前だけだぞ」というメールに「ちょっと、詳しくはもどってから話す」と文字を打ちながら、病院前に止まっている一台のタクシーをつかまえた。



「どこまで乗られますか?」という運転手に、「駅前まで」と一言で答える。
ホントはYukiたちが待ってる場所まで乗っていきたいが、あいにく今の俺にはそんな金は持ち合わせていない…



タクシーに揺られながら俺はずっと澪ちゃんの事を考えていた。今頃大丈夫か、痛がっていないか、あの二人は居てくれているのか…



本来なら俺がここまで心配することなんて無いんだ。。けど、何故か彼女のことが頭から離れない…なんで??なんでだ??



こんな職業をしてるけど、俺にだって多少の女友達はいる。けど、そいつらにだって抱いたことのない、なんだかモヤモヤした重たい鉛のような気持ちが、今の俺の中にはある。



もしかして…俺…澪ちゃんに。




いやいやいやいや笑、よく考えろ俺。



俺は無意識に頭を振る。
今日出会ったばかりの子だぞ?こんな迷惑すぎる考えは持っちゃいけねぇ…



考えないようにすればするほど、やっぱり彼女の事を考えてしまう。…ダメだ。今の俺はどうかしてる。

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