今の私は一週間前のあなた


まだ年越しをしていないけど年越しそば。



ちょっと変な感じもするけど


夜ご飯に最適だったのである
みんなで作って笑って
「楽しかったらそれでいいやー」っていう考えの私たちは
なんら文句を言うことなどなく
はしゃいで笑った



食後の花札は進の圧勝で、
それらを全て終えて


年越しまで、
あと2時間。と時が迫っていた


私はこっそりとリビングの扉をあけて自室に戻った


年越しまであと2時間ということは
私が死ぬまであと2時間ということ




最後に幸せを感じることができたのだから





未練なんてない
…多分






ひとり、自室で窓の外を眺める
机の上に乗せられた
あの日修也に貰ったネックレスが
月明かりに照らされてキラキラと輝いていた


下からはなにをしているのか賑やかな声が聞こえてくるけれど

私の心はとても穏やかであった



「…乃々」

その名を呼んで
私は最後の未練を見つけた


「…乃々に会いたい」


目に入った壁に掛けられている
初めてあった時乃々がきていた服


私はそれに着替えて首元にネックレスをかけた


鏡を見てみると
乃々と益々似て見えた。


「…おんなじ顔だから、当たり前…か」


ふっと笑って
乱雑に置かれたカバンに手をかけて部屋を飛び出した


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