今の私は一週間前のあなた

さっきまで黙っていた修也が口を開いた

「お前が思ってるよりずっとお前が好きだよ」


抱きしめられてるせいか修也の心臓の音が聞こえる
私と一緒くらいに早くて…


「…っで、でも修也むかし彼女いたじゃん」

ドキドキに耐えきれなくなってつい口が滑ってしまった
余計なことを言ったと、
聞かなきゃよかったと後悔しても

もう遅い

どんな言葉でも
受け止めるつもりで次の言葉を待った





「…は?彼女?いつの話?」





私の言葉にきょとんとした声が聞こえる
まさか忘れてた?

「…中学のとき」

それとも言わせたいの?
意地悪…?


自然と抱きしめる手に力がこもる

「…愛妃…か。…あんなの、彼女じゃねーよ」

「はぁ?!」
今名前言ったよね
愛妃ちゃんと付き合ってたって言ったよね?!
なのに、彼女じゃない…って…?

突然のことに驚き私は起き上がって修也の顔を見つめた

「利害が一致しただけ。」

驚きを隠せない私に対し、修也は淡々と答える
まるで本当に好きじゃなかったみたいに


「…どういうこと?」

理解が追いつかず修也に問うと
修也は はぁ、とため息をついて修也は私の頬を両手で触れた

「あんときは…
俺にも別の好きな奴がいて
向こうにも別の好きな奴がいた。
んで、
振り向かせよう同盟?
みたいなんが出来て付き合ったんだよ」



…振り向かせよう同盟…って…
さすが中学生。
なんてちょっと冷静な私



「なんで別れたの?」

「向こうが振り向かせるのに成功したから。
つまり俺を置いて付き合いやがったんだよ」

呆れ顔で答える修也。
…少し修也が不憫になってきた



けれど私は質問をやめない



「…修也は、結局好きな人を振り向かせられなかったんだよね?」


愛妃ちゃんと別れて
“振り向かせよう同盟”は解散したんでしょう?

だったら修也の願いは叶わず
愛妃ちゃんだけが幸せになった…?と



首を傾げて問うた私の言葉に修也は笑った


もう一度私の背中に手を回して抱きしめる





「今、成功した」





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