桃色吐息
「ねえ、早く食べないと冷めちゃうよ。」


蓮にそう呼ばれて、私達もやっとみんなの輪に入ってピザを食べた。

夜中にこういうジャンクなのを食べるのって、すっごく久しぶりだなあって思う。子供のときぶりとかかもな・・・


「なんかダメなものって、どうして美味しいんだろうなあ。」

私達の分って残しておいてくれたミックスピザを、ビトと一緒に食べて思わずほころんでしまった。



「桃ちゃん、夜中は食べないでしょいつも?」

カオリさんにそう聞かれて、ああそうだねって答える。


「小学生のときぶりとかかもなぁ・・・」

大晦日とかお正月は、子供の頃夜中まで食べてたなって懐かしく思い出したりした。

横を見ると、蓮はコーラなんて飲んでたけど、私はそこはウーロン茶でぐっと我慢する。



「あれだろ、ビトにあわせてたんだろ。」


アキラ君に急にそういわれて、ああそうだったかなって思う。
無意識にダイエットみたいなことやってたかもなあ、今思うと。


「そうなの?」

ビトにもそう聞かれて、普通に身体に悪そうだからしてなかっただけって答えてたけど。


「寝る前ストレッチとかしてたもんね。」


カオリさんにそんなことばらされて、なんかちょっと恥ずかしくなった。なんか凄くがんばってるみたいじゃない。



「ああ、あれずっと続けてたの?」


ぶっちゃけついでにビトにまでそんなこと言われてしまった。



「俺はもうちょっと太っててもいいと思うけどなあ・・・痛てえし。」



エイジ君まで何だか意味深なことを言う。


「バカ、何言ってんだよ。酔っ払ってんのかよ。」

蓮が慌ててつっこんでたけど、どういう意味だろうな?

って言うか、いつの間にかビール飲んでるしエイジ君・・・



「もう、そういうことは僕の居ないとこで言ってよ。」

ビトも何だかわかったらしく照れながらそういうので、ああなんかいやらしいことなんだなってことだけはわかった。


カオリさんとアキラ君は、よくわかってなくてぽかんとしてる。







「桃、ちゃんとビトと話せたか?」

私達はなんとなくそばに居ることもできずに、微妙な距離のままだった。

「うん」と私は答える。



「俺もちゃんと話してくるよ、リンダと。」




まっすぐ真剣にエイジ君がそういうから、私もまっすぐと彼の目を見つめて「わかった」と答えた。







< 110 / 128 >

この作品をシェア

pagetop