桃色吐息
待ち合わせは、原宿駅のGAP前。

なんだか楽しみで、かなり早くついてしまった。
夕方になってもまだまだ日差しが強くてとても暑い。

長く伸ばした髪が、この時期になると面倒になってくる。

いっそのこと切ってしまいたいと思うけれど、この髪が好きだといってくれるビトのために、ずっと子供の頃から伸ばしていたんだ。



待ち合わせの時間五分前に、エイジ君はやってきた。

そういえば制服姿しか見たことなかったから、私服で会うのは初めてだ。

赤いチェックのボンデージパンツに、大きな髑髏柄のTシャツ、首にはストールを巻いていた。

そして、いつもよりしっかり立ち上がった黒い髪がなんだかやたらカッコよくてドキッとする。


「なんか早いな、まだ時間じゃないだろ?」

そういってエイジ君は、私の姿をまじまじと見つめていた。




「へえ、すっげー似合ってるじゃん?それ高いだろ?どうしたの?」

エイジ君は私のワンピースを見てそんなことを言う、今日行くブランドの服だったからかな?


「去年お母さんに、誕生日に買ってもらったやつ。これ高いんだ、知らなかった・・・」


無意識にすそをめくってタグを確認すると、生足が見えてしまって思わず慌てて元に戻す。
それをじっと見られているのに気付いて、恥ずかしくなった。


「エイジ君も、そのカットソーかっこいいね。」
そういってあげると、少し照れて、私のワンピースと同じブランドなんだって言った。


そうか、なんかペアルックみたいだなって思ったら、なんだかおかしくなった。



こうして同じ年の男の子と、同じブランドの服を着て原宿を歩くなんて、ほんとのデートみたい。
微妙な距離は開いているけれど・・・








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