桃色吐息
2人でいつもの目黒線に乗ると、エイジ君はちょっと話があるらしく、

「なぁ、ちょっとお茶でもしていかねぇ?」

なんていってくれた。


昨日のことを聞かれるにきっまってるってわかっていたけれど、それでも私は嬉しかった。

この前はカフェは絶対ヤダなんていってたくせにね。



うちの近所の、たまに行くスイーツの美味しいカフェにエイジ君を誘うと、ちょっと嫌そうな顔をしながらも何とか付き合ってくれた。




お店に入ると、一番奥の目立たない席を選んで私たちは座る。

私はシフォンケーキのミルクティのセットと、エイジ君はブラックコーヒーを頼んだ。



「お前、ビトと別れたんだってな。」


早速想像していたような話になって、私も笑顔で引きつりながらも、少しづつ話はじめた。


「蓮から聞いたの?」

私は出された紅茶にミルクを注ぎながらそう聞いた。


「ああ・・・」


茶色からクリーム色の変わっていくカップをぼんやりと眺めながら。




「やっぱね、アイドルは彼女作っちゃいけないんだってさ。
わかってたけどね…」


もっともらしいことをいってごまかしたけど、エイジ君が聞きたかったのはそんなことではないらしい。


「それだけじゃねーんだろ?
レンが、モモから直接きけって…」


ああやっぱり、あのおしゃべりめ・・・
そんなに昨日の今日で、すぐに私から告れるとでも思ってるのかしら?

そういうのって、色々タイミングとかあるのよ。



「ただの幼馴染って思ってたのは、ホントは私のほうだったのかも?
それに気づいちゃったから…」

何でそう思ったかは、はっきりは教えてあげないけどね。


「俺があんなこと言ったから?」


「そうだよ。
でも、言われなくてもそうしてたのは、時間の問題かも?
エイジ君に、背中を押してもらったって感じかな…」


確かに、あの言葉がなかったら、私はもっと先延ばしにしていたかもしれない。


そんなことを思い出したら、なんだかおかしくなって、私はエイジ君に微笑みかけた。



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