桃色吐息
「ビトって桃の彼氏?例の12歳で・・・」

そこまでいって、なに言い出すんだろうって思ったら蓮があわて出したので、また余計なおしゃべりしたんだろうなって思う。

蓮って調子もので口が軽いんだよね・・・


「なに?言いかけてやめないでよ。」

ちょっとイラついてそういうと、

「12歳の頃から付き合ってるんだってな」って普通に聞かれて、そうだよって答える。



それから何故か、ビトの事を色々聞かれた。

私は、居間に置いてあるアイドル誌をさして、ビトの写真を見せてあげると、彼は意外なことにビトのことを知っているという。

最近、男の子向けの雑誌に、モデルとして載っていることが増えたからだろうな。





しばらくすると、裏口のドアが開いて振り返ると、そこにはまぶしいくらいの笑顔のビトがいて、遅くなってごめんねなんていいながら私の横に座った。


蓮の友達とも普通に挨拶したりしているので、私はビトの分のケーキとコーヒーを用意して持ってきてあげる。

ビトは想像していたとおり、満面の笑顔で美味しいといってくれた。



お母さんが、新しく焼き上げた新しいケーキを持ってきてエイジ君に渡してあげると、「こっちもうまいなあ・・・」なんていって食べている。

私は、ビトに美味しいといわれるより、お母さんのケーキを褒めている彼の方にショックを受けていた。


絶対私の方が美味しいのにって、なんだか悔しかったから。




しばらくすると、蓮とエイジ君は、二階の音楽部屋に行ってしまった。
そこには、お母さんが趣味で集めているレコードと、お父さんのゲームや楽器があるから。

エイジ君は、うちのお母さんの好きそうな音楽が好きらしい。



「桃ちゃん、どうしたの?さっきからなんだかぼんやりしてるね。」

ビトは相変わらず笑顔で、そんな私を心配してくれる。



「なんでもないよ。」






私は何も答えられなかった。
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