桃色吐息
13
うちに帰ってくると、玄関の前には蓮がいた。

なんだかいつもと様子がおかしくて、スッキリとした顔をしていて、やけに男っぽい。

ああそうかってなんとなくピンときた。


「なんかあったでしょ?」

そう聞くとめっちゃ慌ててるのが可愛い。


一緒にただいまと思わず声が揃ってうちにはいると、大人たちは宴会の真っ最中だった。


珍しくお父さんも早く帰ってきていて、門限ギリギリだなーって言われたけど、まあいいかってなんとなく軽く流されていた。

「飯は?」って聞かれて、「食べてきたよ」ってまた蓮と声がそろって返事をしてしまう。


「なんか蓮君と桃ちゃん、今日は一段と双子っぽいねえ。」

いつも遊びに来てる大野さんに笑っていわれた。



「ねえ、パスタ食べてきたなんていわないよね・・・」


蓮にそっとそういうと、何でわかるんだよってまたびっくりされる。

やだ、なんか気持ち悪い・・・


大人たちに冷やかされながら、私たちはさっさと二階に退散した。



「ねえ、蓮ちょっときて。」

私はさっきエイジ君がかけていた曲が気になって、両親の音楽部屋でレコードを探していた。



「ねえ蓮、もしかしてカオリさんとやったでしょ?」

さっきからずっと気になっていたのでずばりそうきくと、
「え?なにを?」なんて挙動不審に答えるので、ばればれだよって笑った。

「匂いでわかるもん、いつもと違うから。」


「そういう桃だって、エイジと・・・」
蓮はそういいかけて言葉を濁した。

一応気を使ってくれてるみたいだけど、きっとわかってるんだろうなってなんとなく思う。

まあそういうことは絶対言わないけどね、私からは。


さりげなくどうだったのかきくと、あっちはカオリさんの方もバージンだったみたいで、ちょっと大変だったっぽい。

初めて同士だとそうなのかな?

改めて、さっきのエイジくんとのことを思い出して、やけに馴れてたよなあ・・・なんてぼんやりとしてしまった。



「あ、あったこれだ・・・」


私はやっとブルーハーツのレコードを探して、それをターンテーブルに乗せて聞いてみることにした。
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