桃色吐息
「ちゃんと聞いたわけじゃねえんだろ?
それに、誰とやってたって、別に気にすることねーよ。
男は、好きじゃない女ともやれるんだし。」


「なんか複雑・・・
ビトは昔からもてるし、そういうのあって当たり前ってどこかで割り切ってるけど。
でもやっぱ、なんかもやもやする・・・」


「そりゃあそうだろうな・・・
そんなに割り切って付き合えるほど、まだ大人じゃないだろうしな。」



エイジ君のカップのコーヒーが空になっているのに気付いて、お代わりを持ってきてあげると。ありがとうといいながらまたコーヒーを飲みだす。



「お前、凄く思われてるんじゃね?ビトに・・・羨ましいな、なんか。」

いつの間にか距離が近くなっていたせいで、エイジ君はそういいながら私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。


まさかそんなことをされるとは思わなかったので、一気にまた意識してしまう。


「あ、ありがとう。」


何してるんだろう私、ビトって彼氏がいるのに・・・



とどめに、メアドを教えろといわれて、そのまま素直に教えてしまって、またちょっと後悔する。

だけれども、それを教えたとたん、エイジ君はもう帰るといいだした。

まるで、それだけが目的だったみたいに…


私は店先まで彼をお見送りをして、いつまでも彼の後姿に手を振った。











そして、なんだか無性に、寂しさがこみ上げてきて、泣きそうになってしまった。
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