兎並学園~私達姉妹の物語~
第七話††亀裂
そして、これを切っ掛けに
溝は深まっていくことになる。

両親は益々、帰って来なくなり
気付けばカミングアウトから
三ヶ月が経っていた。

人と違う能力(ちから)を持って
生まれただけなのに、
それが、そんなにいけないことだろうか……

兎並は人間に化けている
妖怪や天使、はては悪魔さえもいる
一風変わった学園だ。

校長が烏天狗なんだから
そこからして普通じゃないけど。

私達姉妹の恋人は“天使”と“死神”。

結局、この三ヶ月は
両親と話していない。

確かに自分にない
能力《ちから》を持っているのは
少なからず“怖い”だろうし
“気持ち悪い”と思うだろう。

だから、両親の気持ちが
わからないわけじゃない。

でも、あからさまに
避けるというのはどうなんだろうか。

人は自分と違う者を
受け入れられない傾向にあるから
別に受け入れろとは言わないけど
そういう能力(ちから)
持っている人もいるのだと
理解《わかって》ほしいだけだった。

とりあえず、
食費は置いて行ってくれるから
そこだけはありがたかったけど。

もうすぐ、
春休みに入ろうとしていた。
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