君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
長かった1日が終わりを

迎えようとしている。

学年毎に優勝したクラスが

発表される。

固唾を飲んで祈るなか

1年生の優勝クラスが発表される。

どうか1ーBが優勝してますように!

そして実行委員から告げられたのは…

『1年生、優勝クラスは…

1ーBです!』

その瞬間、みんなと空を指差し

歓喜の声を上げた。

やったー!!

みんなの頑張った成果が

身を結んだ!!

気付かないうちに

わたしの目から涙が溢れていた。

良かった…

本当に良かった!!

閉会式のあと、教室では先生を

交えたプチ打ち上げを

する事になった。

「お前ら、よくやった!!

お疲れさんっ!!」

「「「お疲れーー!!」」」

先生からのお祝いのジュースで

乾杯して、みんなが笑顔でいる

この場所に居られる喜びを

ひしひしと感じてニヤニヤが

止まらない!!

すごく嬉しい!!

思い思いの時間を過ごして

そろそろお開きという頃だった。

璃子が急に立ち上がり、

教室を出て行ってしまった。

ん?

どうしたんだろう?

そう考えていると、

わたし以外のみんなが

一斉に立ち上がり

わたしを囲み始めた。

えっ!?な、なに!?

クラスでも一際小さなわたしは

立ち上がるみんなに囲まれて

まさに蛇に睨まれた蛙状態で…

「あの…みんな、どうしたの?」

わたしの声にみんなが一斉に

笑顔になり…

次の瞬間!!

パンッ!パンッ!パンッ!

思わず目を閉じ、耳を塞いだわたし。

「きゃっ!!な、な、なに!?」

「流羽、目開けてみて!」

璃子の声だ…

ゆっくり目を開けると

わたしは幾重にも重なる紙紐に

埋もれていた…

一体これは??

ん?

なんか、この匂い知ってる…

なんだっけ?

みんなが手に持つそれは…

「クラッカー?なんで?」

わたしが首を傾げると、璃子が

手を後ろに近づいてきて、

次の瞬間、目の前に大好きな

パステルカラーの花束。

「流羽、ありがとう!!」

「「「ありがとうー!!」」」

えっ…なんで?

ありがとうって?

更に首を傾げると、璃子から

言われた言葉にわたしは

開いた口が

塞がらないという状態で…

「これは、あたし達から

流羽への感謝のしるし!!

流羽が作ってくれたミサンガには

叶わないけど…

みんなの感謝の気持ちを込めて

贈ります!!」

「そんな…感謝だなんて!

わたしの方こそ、みんなに

ありがとうだよ!!

クラスの一員だって言ってくれて

仲良くしてくれたでしょ?

なのに…わたしだけこんな素敵な

プレゼント勿体ないよ!」

嬉しさと申し訳なさで

頭の中がぐちゃぐちゃだよ。

どうしよう…

涙がこぼれちゃう…

璃子と聖奈ちゃんに

挟まれるように

抱き締められたわたしは、

初めて大勢の前で大泣きした。

「…っぐす…うぅ…」

涙が止まらないわたしを

みんなが代わる代わる

子供のようにあやしてくれた。

恥ずかしいのに…

嬉しいなんて、わたし変だよね。

「俺たちの姫は泣き虫だなー!」

「よしよし!流羽ちゃん、可愛い!」

「俺にもよしよしさせてくれっ!」

ばちんっ!!

「あんたは駄目!!」

「いってぇー!!香月、そりゃないよ!」

頭を叩かれたのはリレーで

活躍した芦屋くん。

何も叩かなくても…

「ごめんね、大丈夫?芦屋くん…

璃子、叩いちゃ駄目だよ!」

わたしが謝ると、

なぜか雄叫びを上げる芦屋くん。

「うぉー!!超絶可愛すぎる!!」

「へっ!?」

目をパチパチさせるわたしの前で

またしても璃子からの鉄拳を受ける

芦屋くんは狭い教室の中を

ちょこちょこ動いて逃げ回る。

その姿は、まるで小動物のよう…

「ふふふ!なんか芦屋くん、

可愛い!」

それを聞いたみんなは

ピタリと動きを止めた。

芦屋くんも、璃子も…

ん?

なにか変なこと言った?

「春瀬は…まさか天然ものか!?」

芦屋くんを筆頭に、

クラスのみんなが叫びだした!

「みんな気付くの遅い!!
流羽はドがつくほどの天然ものだよ!」

そう高らかに宣言をする、

聖奈ちゃん。

天然もの…?

人間に天然ものとかあるの?

「聖奈ちゃん、天然ものって何?」

わたしの言葉にクラス中から

「「「マジのやつだー!!」」」

という叫び声と笑い声が響いた。

何がなにやら分からないけど…

みんなが笑ってくれるなら

天然もの?でもいいかな。






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