君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
キミには内緒で…
翌月曜日…

わたしの記憶が戻った事を

璃子や聖奈ちゃん、日向くん、

そしてクラスのみんなも

喜んでくれた。

それを見て、自分がどれだけ

みんなに大切に思われているか、

改めて分かって、凄く嬉しかった。

放課後、部活が休みの

わたしと翼くんは、2人で

手を繋ぎながら、翼くんの

お家に向かって歩いていた。

こうして、手を繋ぎながら

帰るのは、いつぶりかな?

恥ずかしさと嬉しさと、

ちょっとの緊張で、

わたしの心は忙しなくて…

そんなわたしを、優しい瞳で

見つめる翼くんに、また

心がそわそわしちゃう!

お家に入ると、翼くんの

家族が、またまた勢揃いで

出迎えてくれた。

翼くんの制止を無視して、

あれよあれよと言う間に、

リビングに連行されたわたし。

そんなわたしに、翼くんは

少しだけ寂しそう…

昨日、2人で過ごしたいって

言ってたもんね。

わたしも2人で過ごしたいけど、

こうして翼くんの家族と

過ごすのも、わたしはかなり

大好きなの。

だから…

隣に立つ翼くんに、

わたしは笑ってみせた。

すると、溜め息をつきながらも

「2人で過ごすのは、

また今度だな」と、苦笑いの

翼くんに、わたしは

「うん、また今度ね!」と、

笑った。

そのあと、わたしの快気祝いを

してくれた翼くんのご両親と

晴人くんに挨拶をして、

お家を後にしたわたしは、

翼くんにホームまで

送ってもらうことになった。

帰り道、公園に立ち寄る事に

した、わたし達は、

ベンチに腰掛け、2人の時間を

過ごした。

「今日は凄く楽しかった!

翼くんのご家族は、優しくて

温かくて…

翼くん、そのものだね」

あの家族だからこそ、

翼くんは翼くんなんだって

思うよ。

少しだけ羨ましい…

そういえば、ホームに

住み始めた頃はよく思ってた。

『わたしには、どうして

お父さんもお母さんも

いないんだろう』って。

周りのお友達をいつも

羨ましい気持ちで見てたっけ…

あちこちの家から漏れる、

楽しそうな声や、温かな光を

見ては、泣いてた。

思い出して笑う、わたしを

見つめる翼くんは、そっと

わたしを抱き寄せて…

「俺たちも、いつかは

ああいう家族…

いや、うちよりもっと

賑やかな家族を作ろうな」

そう言って、笑った。

「うん…そうだね…」

寄り添いながら、

いつかの約束が叶う日を

願った。









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